娘がバスケを始めたいと言った日|“好き”を信じて背中を押した父の記録

はじめに
「バスケ、やってみたい!」
ある日、6歳の娘がそう言いました。
兄の影響もあったのでしょう。でも正直なところ、私は少し戸惑いました。
「本当にやりたいのかな?」「続けられるのかな?」
そんな思いが頭をよぎります。
ほかにもピアノやダンス、絵を描くことなど、いろいろな体験をさせてあげたい気持ちもあって、「今、バスケに決めてしまっていいのかな?」と迷う自分もいました。
それでも、目をキラキラさせて「やってみたい」と言ったあの顔を見て、
「この気持ちを応援してあげたい」と、心から思えたのです。
兄の影響と、バスケへの憧れ
小学校4年生の兄は、年長のころからバスケを続けています。
土日の練習や試合についてくるうちに、妹も自然と興味をもったようでした。
兄が楽しそうにプレーする姿を見ては、家の中で真似してボールをついてみたり、ミニゴールで遊んだり。
その様子を見て、「やってみる?」と軽く聞いてみると、「うん!やってみたい!」と笑顔で即答。
あまりにも即決だったので、「本当にわかって言ってるのかな?」と少し不安になったのも事実です。
バスケも素敵なスポーツだけれど、もしかしたら他にもっと合うものがあるかもしれない。
そんな思いもどこかにありました。
最初の体験と戸惑い
クラブチームに初めて参加した日。
年上のお姉さんたちにサポートしてもらいながら、緊張した面持ちでなんとか動いていました。
それでも終わったあとは「楽しかった!」とニコニコしていて、「よかったな」と胸をなでおろしました。
…けれど、そんなに簡単にはいかないものですね。
1カ月ほど経つと、緊張して全く動けなかったり、プレッシャーを感じてか、練習中に泣き出してしまうこともありました。
見ているこちらも、「やっぱりまだ早かったのかな」と心が揺れました。
ただ、毎回「バスケ楽しかった?」と聞くと、彼女は決まって「楽しかった!」と答えるのです。
正直なところ、親に気を使っているのでは?と疑う気持ちも少しありました。
でも、その答えだけは毎回ブレませんでした。
“好き”って、すぐに形にならなくてもいい
できることが増えるわけでもなく、いつも固まってしまう日もある。
それでも、終わったあとには「楽しかった!」と言う娘。
「この子はきっと、本当にバスケが好きなんだろうな」と思えるようになってきました。
そんな中、学校の担任の先生との面談がありました。
先生がふと「〇〇ちゃん、バスケ好きなんですね。学校でも”バスケ楽しい!”って話してくれますよ」と言ってくれて──。
私はなんだかホッとしたような、肩の力が抜けたような気持ちになりました。
親以外の誰かにも、「好き」を語っていたことが、素直に嬉しかったのです。
あらためて思いました。
好きって、すぐに上手にできるとか、結果が出るとか、そういうことじゃない。
緊張して動けなくても、泣いてしまっても、
「楽しい」という気持ちがあるなら、きっとその先につながっていく。
そんなふうに思えるようになりました。
おわりに
これからも、うまくいかない日がきっとあると思います。
「今日は行きたくない」と言う日が来るかもしれません。
でも、「やってみたい」と言ってくれたあの日の気持ちを、私は忘れたくありません。
その想いを信じて、これからもそっと背中を押せる存在でありたいと思っています。
きっとこの文章を読んでくださっている方の中にも、
・子どもの習い事に対して迷いや不安を感じている方
・兄弟姉妹の影響で始めた習い事が続くか不安な方
・「もしかして無理にやらせているのでは」と悩んでいる方
がいらっしゃるかもしれません。
私もまだまだ手探りですが、子どもの「やってみたい」を信じるって、思っているよりずっと大きな力になるんじゃないかなと思います。
これからも一緒に、子どもたちの“好き”を見守っていけたら嬉しいです。